もくじ
漢方薬はなぜ食前に飲むのがいいの?
病院で処方されたり,調剤薬局で漢方薬を購入する際,
「できるだけ食事の前や食事と食事の間に飲むようにしてくださいね」
ってよく言われませんか?「でも,なんで食前?普通のお薬って食後に飲むのが基本でしょ」
って思ってましたが,食前に飲むのにはちゃんとしたわけがあるんです。
西洋薬は,熱を下げる・痛みをとる・血圧を下げるなど,原因が分かっている特定の症状に対して有効に働くように作られています。
それに対して漢方薬は,さまざまな生薬を組み合わせることによって,特定の原因だけではなくいろんな不快な症状を根本から改善していくために作られたもの。
漢方薬のもととなる生薬は植物や動物・鉱物など天然のものを原料にして作られているため,体内に食事が入った後に飲んでしまうと,生薬の成分に食事の成分が混ざってしまい,効能のバランスが崩れてしまうんです。
だからできるだけ食事の前や,消化がある程度進んだ「食間」に飲むのがもっとも効果的なんですね。
☆食前・・・食事の前,約30分前が目安
☆食後・・・食事の後,約30分以内に服用
☆食間・・・食事と食事の間,食事をしてから約2時間後が目安
☆就寝前・・・就寝の約1時間前までに服用
よく「食間」と聞いて「ご飯と味噌汁の間に薬を飲むの?」なんて笑い話を聞くことがありますが,間違ってもそんなことはしないようにしてくださいね♪
うっかり飲み忘れた!食後に飲んでも大丈夫?
漢方薬は飲む量がけっこう多いこともあって,食事の後では飲めないため,食前に飲む方が効果的だといわれる理由の一つでもあります。
しかし,うっかり飲み忘れてしまった!どうしよう・・・
なんてことよくありますよね。
そんな時は食事の後に服用しても全く問題ありません。若干吸収率が悪くなったり,生薬のバランスが崩れることもありますが,そんなに心配することないんです。
それに,食事の前に飲むとどうも胃の調子が悪くなって・・・と言われる方の場合,
あえて食後や食間に飲むことが勧められる場合もあります。
胃腸の働きが弱い方や体調を崩して胃腸が弱っている時などは,無理して食前にこだわることはありません。じゃあ,食間に飲もう!
なんて考えていても,食間なんてよほど注意していないと忘れてしまうのが普通です。
「食事の前に飲むとどうも胃がムカムカする・・・もう,漢方薬なんて飲みたくない!」
なんてことになるよりは,割り切って食後に飲んだ方がよっぽど効果的ですよ♪
苦い漢方薬を上手に飲むコツは?
漢方薬の名前の最後にある「湯(とう)」「散(さん)」「丸(がん)」これらの文字は,漢方の飲み方を示しているものなんだそうです。
「湯(とう)」は煎じて飲むもの
「散(さん)」は粉末状にしたもの生薬をそのまま飲むもの
「丸(がん)」は粉末状にした生薬を蜂蜜などで丸めて飲むもの
このように言われていますが,飲みにくい場合は必ずしもこの通りに従わなくても良いと思います。
①お湯に溶かして飲む
200㏄くらいのお湯に,溶け残りがないようにしっかり溶かして飲みます。「湯(とう)」の本来の飲み方に近いのかもしれませんね。
②白湯または水でそのまま飲む
白湯か水を口に少量含み,粉末状のものをそのまま流し込みます。そしてすぐさま多めに白湯や水を飲みます。
私はいつもこの方法で飲んでいます。白湯や水の量が少ないと苦みが口に残る場合がありますので,多めの水分で服用することがコツです。
③オブラートに包んで飲む
ドラッグストアなどで簡単に手に入るオブラートを使うのもオススメです。
オブラート自体は成分のほとんどがデンプンであるため,安心して使えます。オブラートを使うことにより,薬がなめらかに包まれてツルンと飲みやすくなります。
ゼラチンなどの植物由来の成分で出来た「空カプセル」を利用するという手もありますよ。一度試してみてはいかがでしょうか。
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本来漢方薬って,その薬を欲している人には「おいしく」必要としていない人には「苦く」感じられるものだそうです。
ですから,あまりに苦すぎて飲めない場合は体質や症状に合っていない場合もあります。一度医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
漢方薬で体質改善していきましょう
漢方薬の本来の目的は,人間が本来持つ自然治癒力を高めていく手助けすること。
西洋薬が特定の痛みや熱に対してダイレクトにアプローチしていくのに対し,漢方薬は症状から原因を探り,根本的な体質改善を図ることを得意としています。
「なんだかよく分からないけど,体がゾクゾクする」
「頭がボーっとして,気分が悪い・・」
「原因がよく分からないけど,体がしびれる」
など,病院での検査結果にはハッキリ現れない「不定愁訴」といわれる症状に原因から
アプローチし,その結果複数の症状が改善されることが多いのも漢方薬の大きな特徴です。漢方は「未病」つまり「体が冷える」「肩がこる」「節々が痛い」などのちょっとした症状から,重症化を未然に防ぐことができます。
インフルエンザなどが猛威を奮う季節になりました。
私たちが本来持つ自然治癒力を最大限に活かすことによって,感染症などから身を守る工夫をしていきましょう。
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