もくじ
インフルエンザから急性中耳炎に!
インフルエンザの合併症として「インフルエンザ脳症」「熱性けいれん」「肺炎」などをよく耳にしますが,なかでも多いのが「急性中耳炎」なんです。
鼻やのどについたインフルエンザウイルスや細菌が,耳管を通って中耳にまで侵入してしまい,そこで炎症を起こしてしまうことにより発症します。
具体的な症状としてはこんな感じが挙げられます。
お子さんにこんな様子が見られたら要注意です!
小児科でも診察は可能ですが,中耳炎の可能性があるときはやはり耳鼻咽喉科にかかるのが一番です。小児科だと耳の中の内視鏡検査までは難しいですからね。
まずはインフルエンザの症状を落ち着かせ,同時に中耳炎の治療も開始していくようにするのがベストでしょう。
急性中耳炎は抗生物質の投与で治療します
インフルエンザは抗ウイルス薬(タミフル・リレンザなど)で対処療法を行っていきますが,急性中耳炎の場合は抗生物質の投与による治療が一般的です。
どちらも似たような症状なんですが,根本的な原因が違うため治療方針も異なってきます。
しかも,インフルエンザは通常長くても一週間程度で症状が改善するのに対し,中耳炎は治療にかなり日数を要することが多いです。
しかし,中耳炎による痛みや発熱は早ければ2.3日で治まってしまうため,ここで治ったと勘違いしてしまいがち・・。ここが大きな落とし穴なんですね。
つらい症状が消えても急性中耳炎が本当に完治したといえるまで,少なくとも2.3週間ほどかかるのが通常です。いったん症状が治まってしまうと,病院に行くのも薬を飲むのもめんどうになってしまいますよね。しかし,まだ中耳の中に病原菌が残っていたり,貯留液が溜まっていることがよくあります。
このような状態を放置してしまうと今度は「滲出性中耳炎」に移行してしまいます・・。
うちの長男がまさにその状態。0歳で発症して10歳を過ぎた今までずーっと耳鼻科に通ってますからね。
本当に注意が必要なんですよ。 ⇒滲出性中耳炎の治療法~鼓膜チューブ留置術について
急性中耳炎のつらい痛みを和らげる方法
ウイルスや細菌が鼓膜の中に侵入してくると,今度は膿が溜まってきます。膿は時間の経過と共にだんだん増していきます。これにより鼓膜が圧迫されて痛みがでてくるんです。
ただ膿があまりにも溜まってくると,今度は鼓膜が圧力耐えきれなくなり,鼓膜が破れて溜まった膿がどっと出てきます。これが「耳だれ」なんです。
「耳だれ」が出ると,見た目は痛そうなんですが,本人の痛みは嘘のように和らいでいるんです。熱も下がってくるんですね。
耳だれが出てきたということは,鼓膜に穴が開いているということです。すなわち耳の中が細菌などに非常に感染しやすくなっている状態です。
耳の中が気持ち悪いからといって,むやみに耳かき綿棒で触らず,出てきた耳だれをガーゼで拭き取るなどして,出来るだけ早く耳鼻科で診察を受けるようにしましょう。
では,なかなか鼓膜が破れず痛みが続いている間の対処法をお教えします。
①痛みがある方の耳の付け根を保冷剤などでしっかり冷やす。
痛みは冷やして温度を下げると感じにくくなるという性質があります。出来るだけしっかり冷やしてあげるようにしてあげてください。
②出来るだけ横にならず,頭を高くしておく!
しんどいからといって横になってしまうと,頭部の血流が増し血管が拡張してしまいます。それにより鼓膜に余計な圧力がかかってしまいより痛みが増すのでは,と考えられるからです。
長男の時も痛がる場合は,出来るだけ椅子に座らせたり,少し高めの枕で寝かせるようにしていました。普通に寝ているよりは痛みが楽になったそうですよ。
もう少し小さいお子さんだと,ママが縦向きに抱っこしてあげても効果的です。
③解熱鎮痛剤を服用する。
あまに痛みが続くようだと,じっとしていることも出来なくなるので,少量であれば解熱鎮痛剤を服用しても問題ないと思います。
中耳炎を予防するためにできることがあります
風邪やインフルエンザから出来るだけ急性中耳炎をひきおこさないために!
効果的と思われる方法をいくつかご紹介します。
☆鼻水はしっかり吸引する。または鼻を片方ずつゆっくりかむ
中耳炎になる原因のほとんどが鼻水であると言われています。風邪をひくと鼻水が出ますが,この中の大量のウイルスや細菌が含まれています。この鼻水が耳管を通って中耳に流れ込むことによって中耳炎を引き起こしているのです。
ですから,風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった際は,耳鼻科でこまめに吸引してもらう,また鼻水をすすらないようにすることが何よりも中耳炎予防につながるといえます。
☆小児用肺炎球菌ワクチンを接種する
中耳炎の原因菌の一つに「肺炎球菌」があげられることから,肺炎球菌ワクチンを接種することが中耳炎の予防につながることが期待されています。
しかし,このワクチンの本来の目的は髄膜炎・肺炎・菌血症の予防であり,中耳炎の予防であるとは承認されていません。にも関わらず,欧米ではその効能が認められていることから,日本でも接種対象に含まれているそうです。
接種期間は生後2か月以上から9歳以下までです。対象年齢であればぜひ接種をお勧めします。
☆おしゃぶりを長期間使用しない
生後12カ月を過ぎても,おしゃぶりを使用している子どもは,使用していない子どもに比べて中耳炎にかかる確率が高くなるそうです。
おしゃぶりを使用し続けることで,鼻と耳をつなぐ耳管の働きに悪影響を与えることがあるそうです。耳管の働きが悪くなると滲出性中耳炎に移行しやすくなってしまいます。
おしゃぶりはなるべく使用しない方がよさそうですね。
子どもをインフルエンザの合併症から守るために,親ができることを一緒に考えていきましょう。
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