もくじ
非常に感染力が強い,季節性の胃腸炎です
ロタウイルスとは,ノロウイルス同様に感染性胃腸炎の原因となるウイルスの一種です。
ロタとは,ラテン語で「車輪」を意味する言葉です。
ウイルスそのものの大きさはノロウイルスの倍近くあり,車輪のような形をしているところから「ロタウイルス」と名付けられたそうですよ。
ノロウイルス胃腸炎は毎年11月頃から流行が始まり,11~12月にかけてピークを迎えます。
対してロタウイルス胃腸炎は,1月頃から流行し始め,2~3月にかけてが流行のピーク。
ロタウイルス感染症は「ノロウイルス感染症の後,花粉の時期が最も流行する時期」と覚えておくと良いと思います。
ノロウイルスよりも乳幼児が感染しやすいのが特徴
ロタウイルスはノロウイルスに比べて「小さな子どもがかかりやすい」というのが特徴です。
何かと比較されやすい「ノロウイルス」と「ロタウイルス」なんですが,潜伏期間・流行する時期・感染しやすい年齢などに若干の違いが見られます。
潜伏期間 | おもな症状 | かかりやすい年齢 | 流行時期 | ワクチン接種 | |
ノロウイルス | 24-48時間 | 嘔吐・下痢・発熱など | 全年齢 | 11月~12月 | 開発中 |
ロタウイルス | 2-4日間 | 嘔吐・下痢・白っぽい便 | 乳幼児が中心 | 1月~3月 | 任意接種有 |
ロタウイルスに感染すると,潜伏期間を経た後,水のような下痢そして嘔吐を繰り返し,ひどい場合は脱水症状に陥ることもあります。
発熱をともなうことが多く,腹部の不快感(吐き気)も頻繁に見られます。
怖いのが合併症なんですが,けいれん・肝機能異常・急性腎不全・脳症・心筋症などが報告されています。
死亡する例も見られ,世界では5歳未満の子ども約50万人が亡くなっているとされています。
がしかし,そのうちの約80%以上が医療機関の整備が進んでいない開発途上国の子どもであるとされ,日本における死亡例は非常にまれです。
このようなことから,仮に感染したとしてもきちんとしたケアさえできていれば,そんなに危険な病気ではないとされているのが現状なんですよ。
抗ウイルス薬はありません。対症療法が主な治療法です。
ノロウイルス・ロタウイルスいずれに感染しても,現在有効な抗ウイルス薬は開発されていません。
嘔吐や下痢などが続くことによる脱水症状を避けるための「対症療法」が行われるのみです。
特に乳幼児や高齢者は脱水症状が進行すると,点滴治療・入院が必要になる場合がよくあります。
下痢や嘔吐の症状が見られたら,なるべくこまめに経口補水液などで十分な水分補給をするように心がけましょう。
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あまりにも下痢が続くと「下痢止め」を服用したくなるところなんですが,下痢は悪いウイルスや細菌を体外へ排出しようとする体の防御反応が起きている証拠。ですから,むやみに下痢止めを使用することは逆にいつまでも体内に悪いものを溜め込んでおくことになってしまいます。
なるべく下痢止めは使用せず,出し切った分は水分補給でしっかり補うことがもっとも正しい方法なんです。
いずれにしても通常は数日経過した後,しだいに症状は軽くなっていき,自然に回復していきます。ご安心くださいね。
有効なワクチン接種はあるの?その必要性は?
ノロウイルスに対する有効なワクチンは現在のところまだ開発されていないようです。
その理由として,ノロウイルスのワクチンを作り出すための研究が極めて困難であるからだと言われています。
現在もなお,我が国の2社が研究開発に取り組んでおり,臨床実験の段階にまできていると言われています。
一方,ロタウイルスに有効とされるワクチンは,現在のところ有効とされるものが2種類出ています。
しかし,どちらも接種できる時期が「生後2ヶ月~6ヶ月までの間」と非常に短い期間に限定されています。
しかも,いずれも生ワクチンのため,接種間隔を4週間以上空けないといけないため,接種スケジュールが非常に厳しいものになってきます。
その上このワクチン,価格がとても高いんです。病院にもよりますが,通常1回一万円前後が相場です。
そのためかどうかは定かではありませんが,接種率があまり高くないのがこのワクチンの特徴ともいえます。
わが子もたまたま小児科に行った際「ロタウイルスワクチン接種」のことを耳にしたんですが,
◆小児科医師がそれほど強く勧めなかったこと
◆任意接種であること
これらを理由に接種することはありませんでした。
接種するかどうかの判断は,子どもの状態や親の判断によるところ大きいので一概には言えませんが,乳児期はこのほかにも接種が必要なワクチンたくさんあります。
本当に必要なワクチン接種が優先的にできるように,ママがしっかり接種スケジュールを考えてあげることが何よりも大事ですよ☆